先ずは、写真の話から.. ポスターや雑誌の表紙やグラビアの場合にTIFF納品を求められると、フォトグラファーはRAW(生)データで撮影して➡TIFFに変換して納品します。それはTIFFが 4:4:4(非圧縮)で、色を間引いていないから➡商業印刷に最適なのです。そして動画にもRAW動画があるので、切り出しにも使えそうですが実は大きな問題があるのです。
.....................・写真のRAWの定義=
RGB ⇨ 写真(光)の色空間 4:4:4 ⇨ 非圧縮(色を間引かない) 12bit ⇨ 680億色(色の総数)
・RAW動画の定義=各社独自の特許技術で決まりはない
・Blackmagic RAW ・Apple ProResRAW ・TicoRAW(Nikon) ・Canon Cinema RAW Light 等..
(世界のSONYは同調せず、X-OCNという圧縮RAWファイルを持っています)
各社、RAW(動画)を謳っているが実は「非可逆圧縮」しているので画質が劣化する➡真のRAWではない!
これらのRAW動画は構造的に動画編集ソフトの静止画
切り出しボタンでキャプチャーするしか方法は無い!
さて、本題に入ります
【.Q1..切り出し写真の印刷物は世の中に流通しているのでしょうか?】
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.現状:動画からの切り出し写真を印刷した実際の仕事例を業界誌の"月刊コマーシャルフォト"で五年分チェックした結果は、2020年11月に雑誌ブルータスのグラビアで、12K-RAW動画から切り出した写真を掲載した1回のみでした。(皆様の身近に仕事での動画から切り出した印刷物はありますか?)
比較用に現物を用意しております
【.Q2.スタジオ撮影での切り出し写真の印刷物はどんな感じか?】
【他のカメラマンの切り出し方式】
6K-RAW動画からの切り出し画像の2.13M 1980×1080 PNGファイルをダウンロードしてRGBに変換したデジタル画像
(色調整無し)
上の写真を実際にA3オフセット印刷して紙面を300dpiでスキャン(色調整無し)
(2100万画素ならばA3オフセット印刷ができるハズだが印刷事故レベルになる!)
また、上の画像は2019年に S.Y.氏が研究用にスタジオ撮影での6K-RAW動画(2100万画素)での結果を発表した。その高解像度のデータをダウンロードして➡72dpiから350dpiにUP、色調整無しで実際にA3オフセット印刷した紙面を➡スキャン(300dpi)したが、このような色味になってしまう。
6K-RAWムービーキャメラ
RAW動画の切り出し写真がオフセット印刷に不向きな.3.つ.の理由❣
① 印刷サイズが極端に小さくなる
それは、動画編集ソフトで写真を切り出すと写真のdpi値が72dpiとなるからです。使用するPCのモニター自体の解像度(絶対解像度)が切り出す写真のdpi値になるので、印刷前に350dpi にアップする
と反比例して印刷する画像サイズは大幅に縮小する。動画編集ソフトの静止画出力ボタンから、切り出
す写真のdpi値は個々のPC環境に左右される。.。。。。。。。..。....................................................................
印刷物を制作する際にWEB上の写真をダウンロードして、そのまま350dpiの
つもりで進行するとサイズが縮小したり、ドットだらけになる現象と同じ!
POINT👉印刷面積は5分の1になってしまう ハイエンドの12KでもA4サイズが限界!
商業印刷のサイズは 4K-RAW動画の切り出し⇒A7, 8K⇒A5程度となるので印刷の仕事は不向き
② 画質がダウンしてしまう
上の6KのカメラはB.M.D社製ですが、カメラ内で「フレーム内非可逆圧縮」をしていると公表。
非可逆圧縮なので、PC内で圧縮データが元に復元されないので解像感が落ちてしまう。。。。。。。。
(B.M.D社の代理店の公式動画より抜粋 クリックで拡大!)。。
結局、PCの動画編集ソフトの静止画ボタンから写真を1コマ切り出すしか方法が無いので、カメラ
.のスペックから ➡ PC環境のスペックになってしまう。(PCがカメラ装置の役割を果たすので....)
POINT👉RAW動画は1度目にカメラ内で非可逆圧縮され➡2度目はPCから写真を切り出す際にPC
。。。。。。。環境のスペックとなるので、2度も画質がダウンして切り出した写真は解像感が落ちる。
③ 肌色の色味が出ない
上の②の状態の動画から写真を切り出すと、ビデオの色空間のYCbCrから写真の色空間のRGBに変換されるが、色味は完全には変換されないので妙な違和感が残る。また、切り出す際のファイル形式をTIFFにしても 4:4:4(非圧縮)には戻らない。.(................................................................................................
.POINT👉ビデオの色空間から写真の色空間へ変換しても違和感が残る色になる。ミドルクラスの
。。。。。。。...PC環境から切り出した写真は、RGB(違和感がある色で)/ 4:2:2 / 10bitとなって、JPEG
。。。.。.。.モードで撮ったアマチュアのデジカメの発色に近くなる。
※RAW動画の色深度(bit深度)は、ほとんどのキャメラで12bitなのでbit数では差は出ない
※4Kと8Kキャメラは4倍の面積の差がある
【他のカメラマンの撮影方式】
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【ダブル撮影方式】
(肌の血色感が全然違います!)
結局、他のカメラマンの切り出し方式だと印刷はダメ!
スマホ画面のスクショやPC画面のスクリーンショット同じ仕組みで、モニターの画面を画像化しているだけなのでオフセット・グラビア印刷には適さない。(写真ファイルをPhotoshopで開いた訳ではないので...).
【写真を切り出す直前のデータ比較表】
..
参考:情報理論とデジタル表現 デジタル情報の処理と認識 画像処理 デジタル情報の処理と認識 (放送大学教育振興出版)
....ディジタル画像技術事典200 ディジタル音声&画像の圧縮/伸張/加工技術 ビデオ信号の基礎とその操作法 (CQ出版)
結論:このRAW動画からの切り出し方式だと、画質が近いBS.4Kや8K放送の空中を飛んでる電波の映像の1コマを無理矢理オフセット印刷するようなもので、色と階調の減少と印刷サイズの縮小という影響が出るのでWEBで使えても商業印刷には使われていないのが現状である。
※
上の①~③の事柄は2024年11月の幕張メッセでのイベントの国際放送機材展(Inter BEE)で.Nikon , Canon , Blackmagic.の技術者に直接確認をしております。(カメラメーカーは切り出しでの商業印刷を想定すらしていない )
※
".切り出し"とは半世紀前からテレビ局やポストプロダクションで使われている用語。つまり、動画編集ソフトの静止画の切り出しボタンからの写真を、動画の一部にハメ込む等の映像編集用途が目的で商業印刷用途ではない。
※ ".画素数."という用語をフォトグラファーは好んで使いますが、テレビ放送やCM制作業界では使いません。1.画素(=.1.ピクセル)の大きさ自体に幅(2㎛ ~ 5 ㎛)があり、更にイメージセンサーサイズの幅(13.2㎜×8.8㎜ ~ 36㎜×24㎜)もあるからです。
※ ".解像度."という用語は「画像の面積」のことと「dpi値」のどちらも解像度というので、殆どのカメラマンは混乱して理解できない。昔から写真業界の"解像度"とは「レンズの分解能」のことで意味が全く違う。(メーカーの技術者や大学の研究者しか使わない用語)